はじめに
会社に所属しているとプレイヤーからマネジャーへ仕事が変わっていきます。業種によって多少前後すると思いますが、実務を担当するプレイヤーとしての能力のピークは30代と言われています。そのため、プレイヤーのままで居続けたいと思っていても若手の方が能力が高く、安い賃金で雇用できるわけですから、淘汰されていく運命にあるのは火を見るよりも明らかです。そのため、プレイヤーからマネジャーへ転換していく必要があるのです。とはいえ、プレイヤーとマネジャーの仕事内容は全く異なるため、優秀なプレイヤーであっても優秀なマネジャーであるとは限りません。本書では「リーダーの仮面」という考え方を通してマネジャーになるために重要なポイントを絞って解説しています。
こんな方が読むべき
- プレイヤーからマネジャー(リーダー)になる方
- うまく部下をコントロールできていないリーダー
- 部下の関係に悩んでいるリーダー
リーダーのよくある失敗
良いリーダーとはメンバーたちの前に立ち引っ張っていく存在とというイメージが強いのではないでしょうか。また、手取り足取り教えてメンバーが作業をスムーズに進めようとするリーダーも一見良いリーダーのように見えます。しかし、いずれもよいリーダーとは言えません。良いリーダーとは「メンバーを成長させ、チームの成果を最大化させる」ことができるリーダーなのです。引っ張っていくリーダーも手取り足取り教えるリーダーもメンバーの成長を妨げてしまっており、結果的にチームの成果を増やせないでいるのです。
リーダーがフォーカスすべき5つのポイント
リーダーが考えるポイントは「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」の5つです。リーダーをしているとメンバーとの人間関係に悩むこともあると思いますが、上記の5つのポイント以外は考える必要はありません。上記の5つのポイントのみを考えることを「仮面をかぶる」と表現します。リーダーをしているときは「リーダーの仮面」をかぶることで、余計な考えを排除するようにするのです。
では、5つのポイントについてそれぞれ解説していきます。
「ルール」の思考法
ルールがないことは一見自由なように見えます。しかし、自由すぎると逆に何をしたらよいか分からなくなってしまい、逆に不自由になってしまいます。例えば、「あなたの好きなものは何ですか?」と聞かれた場合、何を答えたらよいかあれこれと考えてすぐに答えが出せません。しかし、「あなたの好きな動物は?」と聞かれればすぐに答えを出すことができます。このように、ある程度制限を設けることでどう行動すればよいのかを迷うことなく決められるようになります。
リーダーの役割はルールを作り、メンバーに守らせることです。ルールを作るうえでは誰が、いつ、何をを明確にしなければなりません。
「位置」の思考法
メンバーと仲良くし友達のような関係になれば、業務が円滑に進むのではないかと思うかもしれません。しかし、友達のような関係になってしまうと、リーダーとメンバーの間に感情が入り込んでしまい、適切な評価ができなくなってしまいます。そのため、リーダーとメンバーの位置を明確にしたコミュニケーションが必要です。まず、業務の決定権はリーダーが持つこと、そして責任はリーダーにありることをリーダーが自覚する必要があります。そのため、業務を部下に任せる場合は、「~してください」と言い切ってください。そうすることで責任の所在を明確にすることできます。また、メンバーには「ほうれんそう」を機械的にするようにさせてください。リーダーはその報告を機械的に事実を聞き、できていなければ事実を淡々と述べ、次にどうするのかを考えさせるのです。
本書ではこれを続けていくと次第にプライベートな誘いがなくなっていくが、そうなったらリーダーとして一人前だと書かれています。会社という場所は友達を作る場所ではなく、利益を追求すべき場所なので、友達関係ではなく位置を明確にして適切なコミュニケーションをとれるようにすべきですね。
「利益」の思考法
メンバーの行動のきっかけは自に利益があるかどうかに視点が向いています。一方で、リーダーはチーム全体のパフォーマンスをいかに向上させるかに視点を向けなければなりません。また、恐怖という感情は自分で考えることになる良い動機になります。そのため、リーダーが持つべき恐怖は「チームとして成果が上がらないこと」です。メンバーにも恐怖を持つ機会を与えることもリーダーの役割です。位置を明確にしたコミュニケーションで説明したようにメンバーの報告を淡々と確認し、できなかった理由を考えさせる必要があります。また、メンバー同士で競争が起こっているような良い緊張感がある状態が理想的なチームの状態です。トップを走るメンバーに引っ張られて周りのメンバーのレベルも一緒に上がっていきます。そのため、メンバーの成果を可視化することで現実をわかるようにするというのも良い方法です。
「結果」の思考法
学校では勉強したことをほめることで成績が伸びるという研究結果がありました。これは、勉強をするというプロセスを評価していることになります。しかし、仕事ではプロセスを評価してはいけません。結果に対して評価すべきです。結果を適切に評価するためには最初に目標設定をして、仕事をメンバーに任せることが必要になります。また、低いレベルが当たり前になってしまうことを避ける耐ため、評価する際には100点が基準であり、それ以下の場合は安易に褒めてはいけません。
「成長」の思考法
健全な競争が起きていればメンバーは勝手に成長していきます。気をつけなければいけないのはリーダーが競争に参加して先頭に立ってしまうことです。メンバー同士での競争が必要です。リーダーは競争の場をメンバーに提供し、メンバーの成長を信じて待つ姿勢が必要です。
感想
いかがだったでしょうか?マネジメントをするリーダーとして必要な考え方を学ぶのにとても良い一冊だと思いました。人間関係を切り離すことは難しいと思いますが、リーダーに求められているのは「メンバーを成長させ、チームの成果を最大化する」ことであり、チームメンバーと仲良く仕事をすることではありません。時には非情になることも必要なのでしょう。私も5つのポイントを意識してマネジメントをすることで、リーダーの仕事を全うしたいと思います。
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